研究分担者 |
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
原 邦彦 (株)トプコン, 医療機器事業部, 研究員
田辺 晶代 京都大学, 医学研究科, 講師 (80243020)
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研究概要 |
近年高齢化社会を迎え、加齢黄斑変性症に代表される脈絡膜疾患は臨床的に高頻度となり、その病態生理学の研究は非常に重要なものとなっている。しかしながら網膜血管と比較して脈絡膜血管は生体下で特異的に造影することが難しいことにより、脈絡膜循環については未だに解明されてない部分が少なくない。本研究は,持続的局所レーザー照射と温度感受性リポソームを用いた脈絡膜血管造影を行うことにより,脈絡膜循環パターンとその領域別支配についての詳細を明らかにした.本研究の意義のひとつは脈絡膜循環を評価する方法として新しい造影方法を開発した点にある.すなわち,蛍光色素を内包した温度感受性リボソームを静注後,眼底局所に温熱用レーザーを照射し,相転移温度(内包物を放出する温度)に達したリポソームから蛍光色素を放出させる一方,アルゴンレーザーを照射し,その蛍光像を観察するというものである.この造影方法では網膜血管蛍光像は観察されず,網膜循環を除いた選択的な脈絡膜循環の観察が可能となった.そしてこの方法を用いることにより脈絡膜毛細血管が領域別支配を受けていることが生体内で示された.また部位により脈絡膜毛細血管の循環像は異なり,周辺部に比べ後極部の脈絡膜毛細血管の方がより効率の良い循環システムを持つことが示唆された.本研究ではサルが用いられているが,この造影法は低侵襲であり改良を加えることによって将来的にはヒトへの応用が可能であると考えられる.
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