研究課題/領域番号 |
15659455
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
鳥居 光男 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30116066)
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研究分担者 |
塚田 岳司 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70236850)
田中 利明 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80332899)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 接着 / ペプチド / 歯科保存治療 / 歯牙 |
研究概要 |
私達は海洋接着タンパク質(ペプチド)の性質と臨床材料応用への可能性を調べるために各種の実験を行い、以下のような結果を得た。 1.ムラサキガイの合成ペプチドを準備し、ペプチド濃度1%の溶解液をガラス上で風乾したところ、ゲル状ではなく硬質に硬化した。 2.1%のペプチド溶液をガラス上で硬化させた後、蒸留水に浸したら全て溶解し水溶性であることが認められたが、硬化前にチロシナーゼによる処理を5分間行ったところ蒸留水に溶解しなくなったため、不溶化出来ることが確認された。 3.ペプチドの接着性質を検討するために、ガラス、歯牙、光重合後のレジン、硬化後のグラスアイオノマーセメントを準備し接着試験を行ったところ、ガラスや歯牙に対して、重合後のレジンは接着したが、硬化後のセメントは全く接着しないという興味深い性質が確認された。 4.歯牙表面に1%のペプチド溶液を塗布し硬化させて、その表面性状を電子顕微鏡にて観察したところ、ペプチドが凝集し一層の膜状になっていることが確認できた。 5.ペプチドの歯牙への接着力を検討するため、引っ張り試験機によりエナメル質、象牙質それぞれで接着力を比較したところ、エナメル質は47Kpa、象牙質は17Pkaの値を示し、エナメル質への接着力が象牙質より約3倍の接着力を示すことが確認された。 6.ペプチドのエナメル質への接着力は脱灰処理により未処理と比較して約5倍の接着力が確認され、同じ条件下で市販の覆髄材と比較したところ、アパタイトライナー(1865Kpa)よりは小さく、ダイカル(22Kpa)よりは大きい値を示すことが確認できた。 7.光重合後のレジンと脱灰処理したエナメル質の接着力は22Kpaの値を示し、エナメル同士の半分の接着力であることが確認できた。 以上の結果より。海洋性ペプチドはその接着機構は未だ不明なものの、歯牙への接着が市販の覆髄材と同程度確保出来ることと水分存在下での硬化が期待出来ることが確認され、今後歯科材料への応用が可能であることが示唆された。
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