研究概要 |
本研究は,高齢者の歯科治療における最適時間帯を探ることを目的として,当病院の来院患者のうち,65歳以上の患者を対象として,平成15年度20名,平成16年度80名,合計100名を対象として,歯科治療の希望時間帯,全身疾患の有無,服用薬,睡眠時間,体調の悪い時間帯などについてアンケート調査を行い,さらに,バイタルサイン(血圧,脈拍,呼吸数,体温,動脈血酸素飽和度)についても測定した.また,平成16年度では,コントロール群として,20歳代の学生100名についても,同様のアンケート調査を行った.その結果,次のような傾向が示された. 1.歯科治療の希望時間帯 複数回答を可としたため,延べ人数が143名となったが,午前10時〜11時が最も多く(60名),次いで11時〜12時(26名),9時〜10時(18名)の順であった.午後を希望する人も33名いたが,午前中を希望する人が延べ人数の73%を占め,圧倒的に多かった。それに対し,若年者は午前中に集中することなしに,一日中広く分布していた.さらに,いつでも良いという人も33名いて,高齢者(6名)と比較して多かった. 2.体調の良し悪し 起床直後(26名)と昼食後から夕方にかけて(17名),体調不良を訴える人がいた.起床直後は頭が重い,何もしたくないなどの症状が多く,昼食後から夕方にかけては,疲れが出て,眠くなったり,横になって休む人が見られた.これに対し,若年者でも,起床直後の体調不良を訴える人が数名いた. 3.昼寝:昼食後,昼寝をする人が22名いた.その時間帯は午後2時にピークがあり(8名),11時〜17時に広く分布していた.若年者の場合は,昼寝の習慣はほとんどなかった. 4.治療時間の長さ:30分〜1時間が最も多く(56名),次いで30分以内(20名),1時間〜1時間30分(15名)の順に多かった.治療時間は何時間でもという人も4名いたが,2時間以上を希望する人は1名のみであった。これに対し,若年者では30分以内が44名で最も多く,次いで30分〜1時間の41名,1時間〜1時間30分が8名であった.
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