研究課題/領域番号 |
15659480
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科系歯学
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 光信 徳島大学, 歯学部, 教授 (00028763)
|
研究分担者 |
岡本 正人 徳島大学, 歯学部, 助手 (10243718)
|
研究期間 (年度) |
2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
|
キーワード | OK-432 / 細菌DNA / Toll-like receptor 9 / 癌免疫療法 / 抗腫瘍効果 / 抗腫瘍性サイトカイン |
研究概要 |
OK-432は多くの癌腫に対して有効な癌免疫療法剤であるが、A群溶血性レンサ球菌をペニシリン処理し凍結乾燥した全菌体であり、どの構成成分が抗腫瘍活性を発現するのか不明な点が多い。我々はOK-432の抗腫瘍活性を発現する活性成分としてリポタイコ酸関連分子を発見したが、細菌由来のDNAが強い免疫活性を有することも報告されており、OK-432においても、そのDNAが活性成分のひとつである可能性は高い。本研究では、OK-432由来DNAの抗腫瘍免疫活性について検索した。OK-432よりDNAを抽出(OK-DNA)し、さらにOK-DNAをCpG-Methylaseで処理してメチル化DNA(OK-M-DNA)を作成した。OK-DNAは制限酵素HpaIIおよびMsp1により消化され、OK-M-DNAはMsp1で消化されたが、HpaIIで消化されなかったことから、OK-432のDNAが、免疫活性を有することが知られている非メチル化CpG配列を有することが明らかとなった。ヒト末梢血由来単核球をin vitroにてOK-DNAで処理することにより抗腫瘍性サイトカインIFN-γおよびIL-12が誘導されたのに対し、OK-M-DNA処理ではこれらのサイトカインは誘導されなかった。非メチル化CpG-DNAはToll-like receptor (TLR) 9を介して免疫活性を発現することが報告されている。野生型TLR9を有するマウス(TLR9+/+)腹腔マクロファージにおいて、OK-DNAにより上記サイトカインの誘導が認められたのに対し、TLR9ノックアウト(TLR9-/-)マウス腹腔マクロファージではOK-DNAはサイトカインを誘導しなかった。同系癌細胞を移植した担癌マウスに対して、OK-DNAによる治療を行った。TLR9+/+マウスではOK-DNA投与により有意な腫瘍縮小効果を認めたのに対し、TLR9-/-マウスにおいて、その効果は認めなかった。また、OK-432を投与した時は、TLR9-/-マウスにおいても抗腫瘍効果を発現したものの、その効果はTLR9+/+マウスの場合と比較して軽度であった。OK-432の抗腫瘍活性には、リポタイコ酸関連分子のみならずOK-DNAも重要な役割をはたしていることが強く示唆された。全菌体OK-432は抗腫瘍効果に不必要な夾雑物や副作用の原因となる成分も含んでいる。癌治療において真に有効な成分(リポタイコ酸関連分子およびOK-DNA)のみを抽出して使用することにより、より効果的な癌免疫療法が確立できると考えられる。
|