研究課題
若手研究(A)
本研究では、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のために、「ビームモニター」および「γ線テレスコープ」等のオンライン測定系から得られるデータを治療計画システムによる事前評価結果に反映させた「医療照射時下線量評価統合システム」の構築を目的としている。最終年度である平成17年度は、平成16年度までに作製・設置した本統合システムのハードウエア部およびソフトウェア部の最終調整を行った。そして、ファントム実験および実際のNCT臨床におけるデータの集積を行い、総合的な検証を行った。まず、前年度までに得られたデータを再評価して、システム各部位の修正および改善を行った。特に、視野調整部については、今年度より本格的に開始された体幹部腫瘍での利用のために、より広い視野に設定できるように改善した。そして、頭頸部、胸部、腹部に関するファントム実験を行い、パラメータの再設定を行った。今年度から本格的な臨床が始まった肝腫瘍BNCTのプロトコールにおいては、γ線テレスコープにより正常肝での平均ホウ素濃度の評価し、照射時間等を決定する。そのため、肝腫瘍を想定したファントム実験については、より重点的な実験・検証を行った。ファントム実験による検証では、その精度は5%以内であることが確認された。テレスコープおよび患者モニターシステムを中心に本システムはその有効性が十分確認され、実際のBNCT臨床において必要なツールとなりつつある。その一方で、各系統の統合化には現時点でもソフトウェア上の問題点・改善点が残されている。今後も、実際の臨床で試用しつつ、ソフトウェア整備を中心にシステムの完成度を高めていく予定である。
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