研究課題
若手研究(A)
レンチウイルスベクターを受精卵に感染させれば、非常に効率良く多数の遺伝子座にGFP発現遺伝子を組み込むことができる。そのことを利用して、GFP遺伝子を性染色体に組み込むと同時に内在性遺伝子を破壊することにより、性染色体の遺伝子機能を解析することを目的として研究を進めてきた。これまでに、酸性処理による透明帯除去ではなく、ガラスキャピラリーを用いて透明帯と卵の隙間にウイルスを注入するマイクロインジェクション法であれば、必要ウイルス量を減らせるだけでなく、卵へのダメージも少ないことを確認した。また破壊された遺伝子、つまりウイルスベクターが組み込まれた場所を、ランダムプライマーを用いたPCR法により決定する系を確立した。これまでに作製したトランスジェニックマウス系統について、150系統あまりの遺伝子導入部位を決定した。さらにX性染色体にGFP発現カセットが組み込まれたトランスジェニックマウスを用いることで、雌雄の胚を着床前に選別し(X/X雌xX^<GFP>/Y雄の交配で得られる雌胚はすべてX/X^<GFP>、雄胚はすべてX/Yとなり、雌胚のみが緑色蛍光を発する)、雌雄における初期遺伝子発現の比較を行った。その結果、胚盤胞期ではY染色体からDbyおよびEif2s3yが、X染色体からはXistおよびRhox5が特異的に発現していることを明らかにした。さらに解析を進めRhox5がインプリント遺伝子であることを明らかにした。以上のことから、性染色体は着床前の早い時期から性分化の鍵を握っていることが推測された。
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