研究課題
若手研究(A)
本研究では、(1)AGN近傍100パーセク以内の星間ガスの構造、進化、力学、質量降着の理論モデルの構築、(2)爆発的星形成、AGNからの輻射フィードバックの影響の解明、(3)将来の高精度観測との直接比較を目指した輻射輸送計算に基づいた「観測的可視化」手法の開発、を行い、さまざまなタイプのAGNの統一的解釈、AGNの宇宙論的進化について新たなパラダイムの確立を目指している。今年度は、これまでの一酸化炭素に加え、HCN、HCO+などの分子種に対しての輝線強度分布の3次元非局所熱平衡輻射輸送計算を、AGN近傍の3次元流体計算から得られたトーラス構造に対して行い、次世代電波干渉計であるALMAによる高精度の観測結果と直接比較しうる結果を世界で始めて得た。また、AGNからのX線輻射によって、AGN近傍ガスに非一様なX線解離領域が形成され、X線解離領域に特有の輝線から、分子トーラスの構造を探る可能性を示した(投稿準備中)。また、銀河中心から1キロパーセク領域に対する、大局的3次元自己重力流体計算を行い、密度分布関数の統計的性質と爆発的星形成に関する理論的示唆の研究を行った(投稿準備中)。これらの成果は、2005年5月18日〜5月30日にイタリア、エルバ島で開催された国際会議「活動的銀河中心核の構造と進化」で口頭発表した。また、アメリカ、ボルチモアのジョーンズホプキンス大学に滞在し、Colin Norman教授と、星間ガス構造に関する理論研究を行い、論文を執筆した(投稿準備中)。銀河形成の合体成長プロセスでバリオンコアとダークマターハローの進化についての理論研究を共同研究者とともに行い、Astrophysical Journal誌に発表した。
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