配分額 *注記 |
26,780千円 (直接経費: 20,600千円、間接経費: 6,180千円)
2004年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2003年度: 24,440千円 (直接経費: 18,800千円、間接経費: 5,640千円)
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研究概要 |
本研究では,クーロン爆発によって生成した多価原子イオンと電離電子の運動量分布を同時計測し,イオンおよび電子の持つ運動量ベクトルの相関にもとづいて強光子場中分子ダイナミクスを明らかにすることを目的とする.本年度はこの目的のために開発したコインシデンス運動量画像測定システムを用いて,強光子場中分子から生成したイオンおよび電子の運動量画像計測を行った。光子場強度(0.15PW/cm^2,70fs)におけるアセトニトリルの2体クーロン爆発過程には,3つの異なる経路CH_3CN^<2+>→CH_<3-n>^++H_nCN^+(n=0,1,2),すなわちC-C結合が直接解離する経路(n=0)に加えてメチル基(-CH_3)からニトリル基(-CN)への水素移動を伴う経路(n=1,2)が存在することが明らかとなった。これらの経路に対する分岐比がほぼ等しいことから,水素移動反応がクーロン爆発と競合して極めて高速に進行することがわかった。また,レーザー偏光方向に対する生成フラグメントイオンの空間異方性の解析から,メチル基からニトリル基への水素移動が進むにつれて,親イオンCH_3CN^<2+>の寿命が長くなることを見いだした。 さらに,コインシデンス画像法とポンプ-プローブ計測を組み合わせて強光子場において生成したCS_2^<2+>のダイナミクスを実時間追跡した。運動量相関図には,ポンプ-プローブ遅延時間に対して鋭敏に変化する2つの異なる成分が見いだされた。これらはそれぞれCS_2^<2+>のポテンシャル曲面上で反対称伸縮振動および対称伸縮振動方向へ移動する核波束に対応し,その収量から対称伸縮振動方向の運動に伴って2つのC-S結合が同時に解裂する過程が,強光子場において極めて効率よくおこることが示された。 また,強光子場中CS_2から生成した光電子の画像観測を行い,基本波と2次高調波を混合した光子場において,光電子空間分布が位相に応じて鋭敏に変化することを見いだした。
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