配分額 *注記 |
29,510千円 (直接経費: 22,700千円、間接経費: 6,810千円)
2005年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2004年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2003年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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研究概要 |
プルシアンブルー類似体Rb_<0.98>Mn_<1.01>[Fe(CN)_6]-0.2H_2Oは大きな温度ヒステリシス(T_<1/2↓>=220K,T_<1/2↑>=314K)を示す相転移材料であることを見出した。高温相の電子状態はFe(III)(S=1/2)-CN-Mn(II)(S=5/2)であり、低温相の電子状態はFe(II)(S=0)-CN-Mn(III)(S=2)である。また、低温相は10000-20000cm^<-1>にMn(III)からFe(II)への原子価間電荷移動バンドをもつ。温度ヒステリシス内の295K((22℃)で、低温相に532nm光を1ショット照射すると、高温相に転移することが赤外吸収スペクトルより確認された。この光誘起相転移の閾値は6mJ cm^<-2> pulse^<-1>であり、量子効率は24mJ cm^<-2> pulse^<-1>の時にΦ=38と最大であった。これらの結果は、この光誘起相転移には協同効果が存在していることを示唆している。 集積型金属錯体Co_3[W(CN)_8]_2-(pyrimidine)_4-6H_2Oは、シアノ基によりCoとWが交互に架橋された3次元構造をしている。この錯体は、大きな温度ヒステリシス(T_<1/2↓>=208K,T_<1/2↑>=298K)を示す相転移材料であり、相転移に伴い赤色(高温相)から緑色(低温相)へと色相が変化する。高温相の電子状態はW(V)(S=1/2)-CN-Co(II)_<HS>(S=3/2)であり、低温相の電子状態はW(IV)(S=0)-CN-Co(III)_<LS>(3=0)である。常磁性体である低温相に840nm光を照射すると、磁化が増加し強磁性体へと変化した。光誘起強磁性相の強磁性転移温度は40Kであり、保磁力は12000Gであった。これらの値は、光誘起強磁性体の中では最高の値である。光照射により、低温相から高温相へと相転移したために、強磁性が発現したと考えられる。
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