配分額 *注記 |
30,420千円 (直接経費: 23,400千円、間接経費: 7,020千円)
2004年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2003年度: 19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
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研究概要 |
近年のナノテクノロジーの発達に伴い,高い空間分解能を持ちながら微小物体の組成や分子構造を観測する手法の開発が望まれている.すべての分子は分子振動を有し,その周波数は分子構造に非常に敏感であるため,分子振動を観測する振動分光による高空間分解能観測に関する研究を行った. 赤外光をそのまま集光しても回折限界により波長程度までしか集光できないために,赤外顕微鏡の空間分解能は10ミクロン程度に限定される.しかしながら,可視あるいは近赤外光を用いて赤外光を発生させることができたなら,可視光あるいは近赤外光の波長程度の空間分解能を持った顕微鏡を構成することができる.大気中でレーザー光を集光して誘電破壊(レーザーブレイクダウン)により発生するマイクロプラズマを光源とした近接場顕微鏡の開発を目指して,マイクロプラズマの発生,観測に関する研究を行った.高強度なフェムト秒レーザーをNA=0.6の対物レンズで強く集光することにより,直径2ミクロン程度のマイクロプラズマを生成することに成功した.また,このプラズマから1000cm^<-1>から4000cm^<-1>に渡る赤外光が放射されていることを実験的に確認した.しかし,本手法を近接場へと展開した場合,プラズマにより試料が破壊されてしまった.そこで,金属薄膜での非線形光学効果を利用した波長変換技術を用いることを検討し,金属薄膜での差周波発生の確認を行った. また,コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)と呼ばれる非線形光学現象を,近接場顕微鏡へと適用した.これは,金属プローブ先端付近での電場増強効果と非線形光学効果による相乗効果により従来にない高空間分解能化した振動分光を行うことであり,波長約800nmの光を用いて15nmの空間分解能と,回折限界の数十分の1まで向上させることに成功した.光を用いた振動分光において従来にない空間分解能を達成することができた.
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