研究課題/領域番号 |
15686039
|
研究種目 |
若手研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福田 大治 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (90312991)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
20,410千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 4,710千円)
2004年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2003年度: 17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
|
キーワード | 高エネルギー分解能 / 極低温 / 光計数率 / 近接二重層 / 超伝導転移温度 / ケミカルシフト / イメージング / 高計数率 / シングルフォトン検出 |
研究概要 |
本研究では、超伝導検出器をエネルギー分散型X線検出器として適用し、高精度結晶構造解析システムの実現を目指した予備的な研究を行ったものである。本年度は、この技術の実現化に必要な以下の三つの要素技術の開発を行った。(1)超伝導転移端検出器のX線光子入射位置依存性の解明、(2)超伝導転移端検出器内の超伝導電流分布の解明、そして(3)測定対象物の構造解析を行なうための蛍光X線分析技術の開発である。まず(1)については、Ir/Au近接二重層超伝導薄膜からなる転移型検出器を作成し、シングルピクセルにおける基本特性の解明を行なった。これにより、5.9keVのX線に対して9.4eVのエネルギー分解能が得られ、本システムを実現する上で充分な性能を持つ技術の開発に成功した。さらに、結晶構造解析を行なうことを目的として、X線光子の入射位置を特定できる20要素からなるピクセル型検出器を開発した。本デバイスの応答信号の波形解析を行なうことにより、X線入射位置を同定することに世界で初めて成功した。次に(2)では、デバイスの検出限界とエネルギー分解能を決めるノイズ要因について考察するため、超伝導転移領域におけるデバイスの動作原理の解明を行なった。素子内部を流れる超伝導流についてGL理論を基に超伝導転移曲線と比較しながら考察することで、検出器感度は素子内部の電流の流れ方によって大きく依存した振る舞いをすることを示した。また、(3)として本システムの実証を目指しシンクロトロン放射光を光源として用いた実験を行った。ステンレスによる標準試料を測定対象として本研究により開発した超伝導転移型検出器でエネルギー分散測定を行ったところ、CrやMnの蛍光ピークを明確に分離できる結果が得られた。これは従来の半導体X線検出器では不可能な性能であり、本研究により開発したシステムの有意性を示すことに成功した。
|