配分額 *注記 |
28,080千円 (直接経費: 21,600千円、間接経費: 6,480千円)
2005年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2004年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2003年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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研究概要 |
これまでは,オオシロアリHodotermopsis sjostedtiの兵隊分化過程において,それまで同定を行った特異的発現遺伝子の発現動態などに関して,リアルタイム定量PCR装置を用いた発現動態の解析により,形態形成に重要な働きをすると考えられるいくつかの遺伝子の兵隊分化における発現動態を解析してきた.今年度は新たに,シロアリ類におけるゲノムサイズの推定や兵隊分化に伴う行動の変化とそれを司る神経系の改変機構の解明にも着手した.その結果,多くのシロアリの系統でのゲノムサイズが明らかとなり,今後行われて行くであろうゲノムプロジェクトヘの基礎を築いた.また,兵隊分化にともない特異的に巨大化するニューロンも同定され今後の社会行動の分子基盤解明に向けての展望が開けた.さらに,RNA干渉法などを用いた遺伝子機能の解析の開発にも着手した.現在も進行中であるが,幼若ホルモンで分化誘導をかけ,その過程で発現する遺伝子の機能の推定に大きな手助けとなる. また,アリの社会性に関しても,これまで得られた,トゲオオハリアリDiacamma sp.やツヤオオズアリPheidole megacephala,カドフシアリMyrmecina nipponicaなどのカースト分化に関する知見を最大限活用し,杜会性の維持機構に迫るべく研究を遂行した.具体的には,トゲオオハリアリのカースト分化決定に関する神経系の改変機構をDifferential Display法により分子レベルで同定した.さらに同定された遺伝子をreal-time定量PCRで発現動態を解析し,行動改変の分子機構に関する洞察が得られた. このようにアリとシロアリでそれぞれ得られたカースト分化と杜会行動に関する分子生物学的・発生整理学的知見を総括し,社会性を維持するための必須の分子機構とその進化に関する考察を行う. 本年度は8月に日本進化学会(仙台),3月に日本生態学会(新潟)に参加して研究成果を報告するとともに,国際的な科学雑誌にいくつかの重要な論文を公表することができた.
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