研究課題
若手研究(A)
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、下記の成果を得た。研究代表者らはこれまでに、概日時計の位相が前進する際にニワトリ松果体においてmRNAが誘導される新規分子を同定した。この分子をLCGと命名し、全長cDNAのクローニング・特異的抗体の作成ならびに強制発現系における細胞内局在の解析等を行ったところ、LCGは中心体のマーカーであるγチューブリンと共局在することが分かった。そこで次に、LCGが松果体においてγチューブリンと相互作用する可能性を免疫沈降法を用いて検討した。その結果、LCGとγチューブリンの結合が確認された。これらの結果から、LCGは時刻シグナルにしたがい中心体の活性を制御している分子である可能性が示唆された。LCGの解析と並行し、新しい光同調経路の発見を目指し、新規光受容分子を探索した。その結果、ニワトリゲノム中に、青色光受容タンパク質であるクリプトクロームの類似遺伝子が存在することを見いだした。これをcCRY4と命名し、cCRY4に関する解析を行った。その結果、cCRY4のmRNAは、網膜および松果体などの光感受性の概日時計組織に多く発現しており、培養した松果体細胞中においてmRNA量が光依存的に上昇することが判った。そこで、cCRY4を特異的に認識する抗体を作成し、タンパク質発現を調べたところ、松果体の多数の実質細胞および一部の間質細胞に存在することが判った。さらに、タンパク質発現もmRNAの発現量と同様の光依存的変動を示すことや、分画した細胞抽出液の水溶性画分中にcCRY4が検出されることがわかった。これらの結果から、cCRY4は光感受性の概日時計組織において青色光を受容する新規の光受容分子であり、ピノプシン等をはじめとする既知の光受容分子とは全く異なる光情報伝達経路に関与している可能性が強く示唆された。
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Journal of Neurochemistry (in press)