研究課題
若手研究(A)
胚発生における前後軸形成は、後に複雑な形態形成を行うための位置情報を提供する根本現象である。マウスでは、受精後5.5日目に胚遠位に存在する遠位臓測内胚葉(DVE)が、将来の胚前方に向かって移動することで前方臓側内胚葉(AVE)を形成し、AVEは前方外胚葉の胚後方化シグナルを抑制し頭部を誘導する。この一連の過程には、Nodalシグナルとその制御が中心的な役割を果たしていることが明らかになったが、前後軸形成の全貌の理解にはほど遠いのが現状である。本年度は、N-エチル-N-ニトロソ尿素(EMDによるマウス前後軸形成に異常をきたす劣性変異体のスクリーニングを開始した。ENU投与した♂C57BL/6N(G0)を♀C3H/HeJと交配させることで♂G1を得た。♂G1は、♀C3H/HeJ(nodal.βgeoアリルを有するコンジェニックマウス)と交配させ♀G2を得た。このnodal.βgeoマウスはIRES-βgeoをnodal 3'非翻訳領域に挿入したものであり、nodal発現をモニターすることができる。nodal.βgeoマウスは、G2及びG3変異遺伝子のマッピングに直接利用できるようにスピードコンジェニック法によってC3H/HeJに戻し交配を行い、コンジェニック化を完了した。劣性変異体のスクリーニングは、♂G1と♀G2の交配で得られる胚(G3)の形態異常とnodal発現を調べることで行った。これまでに30ラインのG1を解析し、DVE移動の異常と考えられる表現型を示すラインや胚後方の形態形成に異常を示すラインを得た。ENU投与した♂C57BL/6N(G0)の精子は今後のG1作成に備えるため凍結保存した。
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Neurobiology of disease 19・1-2
ページ: 208-217