研究課題
若手研究(A)
顎口腔諸器官は、常に細胞内外から様々なストレスにさらされている。このストレスにさらされた細胞は積極的に危機状況を回避するための細胞応答を示す一方で、過度のストレスに耐えきれなくなった細胞はアポトーシスを選ぶことになる。そのストレス受容・情報伝達機構を解明することはすなわち口腔粘膜・硬組織の生と死の制御機構さらには疾患分子機構の解明につながると考えられる。本研究課題において、ストレス情報伝達機構としてのASK1の機能解析を行うことにより、様々なストレスの受容機構ならびにシグナルへの変換機構の包括的な理解を目指した。平成17年度は、様々な疾患分子機構の一つとして、近年注目されている小胞体ストレスによる細胞死の分子メカニズムを明らかにする事を目的とした。近年、糖尿病・骨ベーチェット病・神経変性疾患など多くの疾患発症において異常タンパク質蓄積が小胞体ストレスを惹起することが明らかとなった。しかし、これまでその詳細な分子機構は全く不明であった。そこで我々は、モデル実験系の一つとして家族性筋萎縮性側索硬化症の原因である変異型SOD1が細胞内に蓄積することによって小胞体ストレスが惹起されること、さらにその下流でストレス応答性MAPキナーゼASK1が活性化され神経細胞死を導くことを明らかにし、国際学会において発表した。このASK1を介した細胞死の分子機構は他の異常タンパク質蓄積を原因とする疾患に関与することが予想され、今後さらに多くの疾患発症分子機構の解明に繋がるものと期待される。さらに変異型SOD1が小胞体ストレスを起こす標的分子を同定し、その分子との結合解離が創薬標的になることを発表し、特許出願を行った。
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