研究概要 |
本研究は、デジタルデータの著作権を守る一手段としての電子透かし技術について、電子透かし符号の安全性の評価に着目し、より適切で現実に即した安全性評価基準を提案し、その評価基準のうえで最適な電子透かし符号の開発を目指すものである。前年度まで、(p,q)-安全性に関する理論的限界の解明や、Secret Guessing問題との関連性の発見、および、集合論的な形状による符号の優劣の評価などについて研究を進めてきた。本年度に行った研究によって得られた新たな知見等の成果は以下の通りである。 1.前年度に得られた成果、電子透かし符号の(p,q)-安全性の漸近的な上限(下限)について、成果をとりまとめ、国際会議Information Hiding 2005において、成果の公表を行った。なお、(p,q)-安全とは、q人中少なくともp人は犯人であるというようなq人を見付けることのできる符号のことである。また、本成果の論文をIEICE Trans. Fundamentalsに投稿し、掲載された。 2.前年度において、電子透かし符号間に半順序関係を定義し、安全性評価の指標となることを示唆した。本年度は、さらなる改良を進め、本質は変えないままで、符号間に偽順序を定義し、これを用いることによって、電子透かし符号の安全性を極めて合理的に評価できることを示した。また、非閾値結託モデルという汎用的なモデルを提案するとともに、先の安全性の評価の下で最適な符号を完全に特徴付けることに成功した。これらの成果を国際会議DRMTICS 2005において発表した。
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