研究概要 |
1.IEEE 802.11b無線LAN端末の位置測定方式WiPSの設計,実装,および実環境での性能評価 (1)設計と実装 前年度の基本設計に基づき,IEEE 802.11b無線LAN端末の測位を行うシステムを構築した.実装は,端末には無線LANカードを装着したLinux搭載PDAを用い,サーバにはノートPCを用いた. 測位は,自由空間伝播損失モデルに従って,端末間で計測した受信信号強度から端末間の距離を推定することで行う.受信信号強度は無線LANチップセットのRSSI値を利用する.端末のうちの数台を測位基準とすることで,他の端末の測位を行う. (2)性能評価 性能評価として,旗揚げゲームを題材に3台の端末を机と両手に1台ずつ保持し,手の上げ下げを検出した.端末間距離を40cmから130cm程度の間で変化させる.端末の移動を検出するまでの時間を計測し,端末間距離が近づく場合で平均2.5秒,離れる場合で6.9秒で検出できた. (3)成果物の公開 Webでソフトウェアを公開し,7ヶ月間で1000程度のアクセスがあった. 2.位置情報提供の通信基盤としてのマルチホップネットワークルーティングの改良 位置情報の提供は,広く普及しているインフラストラクチャモードを用いたアクセスポイント経由のネットワークのみでなく,アドホックに構成されるマルチホップネットワークでも利用できるべきであり,アドホックネットワークルーティングプロトコルの経路安定性を高める手法の提案と評価を行った. 端末の移動速度を端末間で知らせあうことで,経路の安定化を図る改良プロトコルの提案を行い,シミュレーションでの評価を行った. 無線LAN端末間の距離が離れた際などに高ビットエラー率となることに着目し,その影響を実環境で評価すると共に,高ビットエラー率になるリンクを迂回する方法を提案した.
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