研究概要 |
本研究では,モーションキャプチャシステムを用いた身体動作記録手法の確立と記録した動作データの再利用を目的として,舞踊符による動作記述手法の提案を行った.舞踊符とはモーションキャプチャシステムにより取得した身体動作データを頭・腕・胴・脚の部位毎に基本動作と呼ぶ再利用しやすい短い動作のまとまりに分割し,動作を表す名前を付けたものである. はじめに,舞踊符による再利用可能な動作素材のデータベースを作成するために,モーションキャプチャにより身体動作を取得した.舞踊符を作成するもとの身体動作として,一連の動作を基本動作に分割しやすく,分割した基本動作に動作名を割り当てるのが容易であるということから空手道の形を対象として10種類,計23の動作データの記録を行った. これまで動作データから舞踊符を作成するためには,対象動作に関する知識を有するものが目視により動作の分割点を決定して行っていたため,時間と労力を要する作業であった.この問題を解決するために,目視による分割と同等の動作分割性能となることを目標とした動作分割点の自動検出手法を提案した.この動作分割点の分割手法は,動作データを調査することにより得た,動作分割点での分割対象部位の位置と回転の変化における特徴を利用して動作を分割する.実験により,提案する動作分割点の検出手法が基本動作分割への有効な手法となり得ることを示した. 作成した舞踊符(基本動作データ)はデータベース化して,3Dキャラクタアニメーシヨン等の人間のキャラクタに動きを付けるための動作素材として再利用可能にする.データベース化した舞踊符を,頭・腕・胴・脚の各部位毎に組み合わせて合成することにより新しい身体動作データを生成するためのアプリケーションプログラム「モーションコンポーザ」を開発し,舞踊符による身体動作記述システムの有効性を示した.
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