研究概要 |
平成16年度には,前年度計画である医用脳画像における興味領域抽出手法,医用画像データの3次元可視化技術,3次元可視化された医用画像データに対する対話的操作技術の各々に関する実験と改良に加え,これらを統合した医用脳画像処理システムに関する実装と実験,及び改良について行った. はじめに,画像からの興味領域抽出手法の1つである動的輪郭モデルに対して,興味領域の形状を考慮する新しいモデルを提案した.実験より,動的輪郭モデルにおいて一般に困難とされるパラメータ設定に関するユーザの負荷軽減が確認され,提案モデルの興味領域抽出に対する有効性が示された.次に,提案モデルは連続画像における興味領域抽出に有効である特徴を持つことから,本モデルを空間的に連続する人体頭部MR像からの小脳領域抽出に適応した.その結果,抽出データのボリュームレンダリングによる3次元可視化を通じて小脳の3次元像を確認することができた.さらに,3次元位置測定装置を利用して得られる実空間位置を,可視化された物体が存在する計算機内の仮想空間に対応させて物体操作を行うユーザインタフェースの開発を行った.実験から,本ユーザインタフェースにより,可視化物体に対する3次元操作が効果的に可能であることが確認された.最後に,これら医用画像からの領域抽出,3次元可視化・操作までの一連の処理をまとめ医用脳画像処理システムの初期実装とした.本システムは,医療分野や情報科学分野における研究や教育,また産業応用に有用性が高いと考える. 本研究は,本補助金により設備備品として購入された高性能ワークステーションや高解像度ディスプレイ,大容量補助記憶装置等を用いることにより可能になり,効果的に進められた.また,本補助金を受け,これら'の成果について情報処理学会東北支部研究会において発表を行い,貴重な意見や情報が得られた.
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