研究概要 |
本年度は,昨年度の研究成果である法科大学院生の情報検索手法の統計的分析を基に情報検索支援のためのキーワード選択法および検索式の構築法について検討を行い,法科大学院生等の法情報検索のスキルが十分でないユーザが法情報検索を効率的に行うために,法令および判例の検索を支援する法情報検索支援システムを構築した.具体的には,検索したい内容を含む法律分野に関連するテキストをマウスで範囲指定することで,関連する法令や判例等の法律関連コンテンツを検索することができる情報検索手法を開発し,検索支援システムを構築した. 本研究で開発した検索式生成システムでは,文章をマウスで範囲指定するのみで文章から検索に適したキーワードを自動生成し,また生成されたキーワードとAND, OR, NOT等を組み合わせた検索文を半自動生成することで,既存の情報検索システムを活用可能でかつ検索の利便性を向上させることができる.また既存の情報検索システムのフロントエンドとして本稿で提案するシステムを用いることにより,従来のデータベースをそのまま用いることができ,かつ自動生成された検索文を用いて効率的かつ精度の高い情報検索を行う可能性を示した. さらに法令検索エンジンの構築について説明し,関連研究との比較を行った.関連研究としては現在多くの利用がある法情報検索であるLexisNexisや判例の検索や要約を行うことのできるFLEXICON,また事例ベース推論を基にした法情報検索システムであるHYPOとの比較を行い,従来の法情報検索手法との相違点等について分析を行った. 本研究成果は,国際会議EISTAにて口頭発表を行った.EISTAにおいての発表時には,NOTを用いた検索式の作成の困難さについて質問があり,NOT式を利用した検索支援に関する問題点について説明を行い,有意義なディスカッションを行うことができた.また明治学院大学法科大学院の紀要において,本年度開発した法令検索支援システムの概要について,論文として発表した.最後に情報検索支援の今後の課題としてドキュメントスキーミング等の手法との融合について検討を行い,また我々の開発したドキュメントスキーミングシステムの評価を行った結果を論文として発表した.
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