研究概要 |
本年度は,上の成果をもとに,<人間-環境>間のインタフェースとしての学習システムの設計方法論を構築した.具体的には,人と環境間のインタラクションを通してインタフェースの情報構造が変化する過程をクラシファイアシステムをもとに数学的に記述した.これによって,昨年度までに構築した<人間-学習システム>間および<学習システム-環境>間の数理的モデルと併せて,人と環境を含めた総合的な学習システムの設計方法論が数理的に実現された. そして,これをもとに具体的な学習システムを設計し,有効性を検証した.従来の学習システムの一般的構成を議論する場合,環境とのインタフェースは問題依存のものとしてブラックボックス的な扱いであり,具体的な構造は示されないことが多かった.CFSにおいてもinput, output interfaceの構造は明確に定義されていない.そこで,CFS内部の知識構造を一旦固定し,柔軟なインタフェース構造によって学習過程を実現する学習システムの設計方法論を構築した.そして,これに基づいてCFSの再設計を行った.具体的には、もっとも一般的な構成のCFSをベースに、CFSが持つクラシファイアと呼ばれるプロダクション・ルールの集合をインタフェースによって選択的に学習システムの環境に対応させる方法を考案した。これを実装するためには,ルール群のどの部分を環境に参照させ、また、逆に環境のどの部分をルールに適用させるかをインタフェースの機能として記述し,それに基づいて実装する必要があるが,そのパラメータのチューニングの根拠を見い出せずにいるのが現状である.この辺りは従来までシステム設計者のトライ・アンド・エラーに因っていたが,今後の形式的モデルに反映するため,これらの作業の根拠も何らかの数理的な知見が必要である.今後学習システムの典型的なベンチマークテストを用い,ルールの選択的適用の基準を明確化していくことで,最終的に人間・環境間のインタフェースとしての学習システム設計の数理モデルの現実性を速やかに検証したい.
|