研究概要 |
人間と共存を目指す,ある聴覚機能を持ったロボットの製作を目指して,今年度,まず,行ったことは,ロボットの聴覚となる機能に関する研究を行った.具体的には,雑音の中から,音声信号を取り出すことができるアルゴリズムの開発に成功した.このアルゴリズムの特徴は,ガウス分布に従う雑音(ガウス雑音)が周りで鳴っている状況下でも,幾つかの音声信号が混合している混合信号だけから,もとの音声信号を分離することができるところである.従来の方法では,このようにガウス雑音に頑健に,混合信号からもとの音声信号を分離することはできなかった.しかしながら,良いことばかりではなく,分離した信号には,依然としてガウス雑音は含まれている.つまり,混合信号から,もとの音声信号は分離できるのだが,そのそれぞれ分離した音声信号にガウス雑音が含まれるという弱点がある.この弱点を克服する,つまり,分離した信号を用いて,音声信号とガウス雑音を分離する方法を考えることが今後の課題である.さらに,混合信号は,空間的混合モデルから生成されると考えている.つまり,実環境を想定した時空間的混合モデルから生成されるとは考えていない.従って,開発したアルゴリズムは,まだ,実環境で使えるかどうかがわからない.従って,実環境でも使えるように,アルゴリズムを再開発することも今後の課題である. また,来年度は,再開発したアルゴリズムをロボットの聴覚機能として使えるようにし,人間と共存できるようなロボットの誕生に少しでも貢献したいと考えている.
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