研究概要 |
本研究は,3次元物体の形状情報と色情報を,複数の小型カメラと光源を用いて,従来よりも安価で容易に計測する装置の開発を目的とする.本年度は,昨年度考案した計測装置の改良と,その装置を複数台用いて物体の全周形状を計測する方法について検討した.まず,計測装置の改良として,ここで提案する装置では,対象物体への光の照射方法によって,計測範囲や精度に大きく影響することから,特に効果的な光源の配置について検討した.これまでの計測装置は,直管型小型蛍光灯3本を平行に配置しただけであったが,これ以外の配置として,三角形状,鳥居状およびアスタリスク状の配置等を考え,それぞれについて形状計測精度の比較を行なった.なお,光源の配置を様々に変更した装置を試作することが困難であったので,今回は,実際の光源のパラメータを用いたシミュレーション画像を作成し,それを用いて評価を行なった.その結果,蛍光灯3本をアスタリスク状に配置した場合が,最も形状計測に有効であることが分かった.次に,装置一台では,物体の部分形状しか得られないことから,この装置を複数台,物体の周囲に配置して部分形状を取得し,それらを統合して,その物体の全周形状を取得する方法について検討を行なった.具体的には,まず,各装置の鉛直上向きの方向は,全て平行に配置されているとし,各装置で取得された部分形状について,その上向き方向に垂直な面上での断面形状を求める.次に,隣接する部分形状間で,その断面形状を用いて座標変換パラメータを求め,部分形状の統合を行うという方法である.この方法で全周形状を取得することは可能であったが,特に装置台数が少ない場合は,一部誤差が大きくなる場合もあった.しかし,多数の装置を同時に使用することはコストの面から困難であるため,今後は装置を移動させながら部分形状を取得し,統合を行う手法について検討する必要があると考えられる.
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