研究概要 |
ITS(高度道路交通システム)の研究分野において,画像処理を用いた交通流計測が盛んに行われている.カメラは,景観が壊されないように,また,ドライバーの目に触れにくいように路側に設置される場合がある.この場合,車両同士の隠蔽が大きな問題となり,単一視点から観測した映像に対する画像処理手法では限界が生じる.一方で,都市工学の分野では,歩行者天国や駅前の雑踏などにおける歩行者の計測や流れの解析が行われており,やはり隠蔽という問題を内包している.そこで,これらのテーマを結びつけ,複数視点映像からの移動物体(車両・歩行者)を観測することによって,交通流計測であれば渋滞時,歩行者追跡であれば混雑時でも移動物体を計測・追跡が可能となるシステムを構築し検証する. 平成15年度では,屋外を対象とした移動物体を検出するための手法として,動的背景差分手法を検討した. 平成16年度では,移動物体計測技術を,走行車両に搭載した車載カメラ映像に応用し,他車両の検出,及び自車両との相対速度の計測方法を検討し,昨年9月に発表した.複数視点を用いた車両検出法に関して,今年3月に発表し,さらに6月に発表予定である.また,道路を走行している車両を計測する場合,道路領域を検出することが重要となってくるため,道路領域の検出方法を検討し,今年5,月に発表予定である.さらに,最近,より小型で携帯性に優れたVCRおよびノートPCと連携しやすいIEEE1394カメラなどがあることなどから,システムの実験・検証を行うために,撮影するためのカメラおよび記録のためのVCRを視点ごとに用意した.そこでカメラ映像ごとに移動物体の検出処理を行い,その処理結果をメインPCとデータ通信し,統合したデータから単眼視で生じる隠蔽をできるだけ回避した追跡を行うネットワークシステムを構築した.データ通信は必要最小限のデータを選択する工夫をしている.現在,投稿中である.
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