研究概要 |
本研究課題では,MPEG-4をはじめとする低ビットレート映像符号化の画質改善及び高機能化を実現するために必要となる高度な前処理技術の確立を目的として研究を進めた.平成16年度の成果としては,大きく2つが挙げられる. 第1の成果は,画質改善のためのプレフィルタに関する研究成果を論文化して公表したことである。これは,主として前年度に実施した「非等方拡散法に基づくエッジ保存型フィルタ」に関する研究をまとめたものであり,本年度の上半期に,基礎理論に関する成果とその時空間3次元への展開に関する成果をそれぞれ信学会の技術報告として発表した.その後,前者は信学論D-IIの論文として採択されている(H17年6月掲載予定).後者についても,近日中に論文化する予定である. 第2の成果は,MPEG-4の高機能化に関わる研究として,エッジ情報に基づくオブジェクト輪郭推定法について検討を行い,提案手法による良好な実験結果が確認された点である.本研究は,MPEG-4のオブジェクトベース符号化において,自然画像から自動的にVOPを生成する過程で必要となる技術であり,応用上も重要である.研究代表者による提案法は,エッジ抽出フィルタによって得られた不完全なエッジ情報を基にオブジェクトの完全な閉輪郭を推定する手法であり,幾何学的な動的輪郭法を用いる点に特徴がある.本手法はその独創性を認められ,国際会議inTech'05で発表した論文ではBest Research Paper Awardを受賞するとともに,国際論文誌JACIIIにその改訂版が掲載されることとなった(H18年1月掲載予定).また,同手法をさらに改善して得られた研究成果を,IEEE主催の国際学会であるICIP'05に投稿したところ,その有効性を認められ論文が採択されている.本成果に関しては,より完成度の高い技術を目指し,今後も研究を継続する予定である.
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