研究概要 |
共変量が多次元の設定での回帰問題において,加法的調整を持つようなフルにノンパラメトリックな回帰推定量について詳しく調べた.これは既存のデータシャープニング推定量と密接に関連していたのであるが,かなり議論が不十分な点があり,それを補う形でかつさらに発展させた形で幾つかの推測論的結果を導出した.具体的には,推定量の導出について理論的根拠を与えたこと,推定量のバイアス・分散の漸近的表現を既存の結果を含むより一般的な形で導出したこと,平滑化パラメータ(バンド幅ベクトル)のデータに基づく選択手法を提案しその挙動についても理論的考察を与えたこと,実際的状祝でのシミュレーションを多く加えたことが挙げられる.共変量が1次元の場合は推定量の利用における実際的側面を強調した議論を与えた. 2項回帰の枠組みにおいては,応答の分散の不均一性を取り込んだ形のセミパラメトリックな推定量を提案し,その理論的挙動および実際的挙動について議論を与えた.そこで提案された推定量は逆問題,すなわち生物検定法に応用が可能であり,実際にその推定量に基づく生物検定法を構成し,従来の手法との比較を交えてその挙動を考察し,提案手法の良さを確認できた.研究課題の一連の成果は2003年9月に名城大学で開催された2003年度統計関連学会連合大会,千葉大学で開催された日本数学会秋季総合分科会,12月に横浜市立大学で開催された科学研究費シンポジウムなどで発表した.
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