研究課題/領域番号 |
15700270
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
横尾 英明 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40282389)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / シュワン細胞腫 / 細胞周期 / 細胞老化 / 酸化ストレス / オリゴデンドログリオーマ / Olig2 |
研究概要 |
昨年までの研究で我々が明らかにしたことは、(1)シュワン細胞腫には自発的に細胞周期の停止する細胞が出現し、それらは細胞老化と類似な表現型を示している、(2)そのような細胞は好酸性硝子滴を有しており、好酸性硝子滴はニトロチロシン抗原が陽性である、(3)ニトロ化は内在性の一酸化窒素による化学修飾と考えられ、内在性の酸化ストレスが腫瘍細胞の細胞周期の停止をもたらしていると推測される、(4)腫瘍細胞の細胞老化という新しい概念が導入できる可能性がある、などである。これらを踏まえて今年度の研究では腫瘍細胞側の要因、即ちどのような条件が重なった場合にシュワン細胞腫が細胞老化の表現型を獲得するのか、という点について検討した。ニトロチロシン以外の酸化ストレスマーカーとして8-OHdG、4-HNEおよび8-nitroguanosineの発現を検討したが、好酸性硝子滴との明らかな相関はなく、細胞老化の実行因子とされるp38の有意な発現も見られなかった。細胞周期制御の最重要分子であるp53をシークエンス解析した結果、変異を示す症例は1例もなかった。得られた手がかりは多くはないが、自発的に細胞周期が止まるためにはp53の変異のないことが前提で、そこに一酸化窒素のようなある種の酸化ストレスが加わることで細胞周期が停止するというスキームが想定される。 オリゴデンドログリオーマについても同様な解析を実施したが有意なデータが得られなかった。同腫瘍の好酸性顆粒は主としてストレス蛋白質から構成されるので、今後は細胞内在性の機序について解析することが必要と思われた。その一環としてオリゴデンドロサイトの表現型を決定している転写因子Olig2の抗体を作製して発現解析をしたところ、抗Olig2抗体はオリゴデンドロサイトとその腫瘍の優れたマーカーであることが判明し、細胞周期研究以外にも幅広い応用が期待された。
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