研究課題/領域番号 |
15700279
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
下村 敦司 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (50340237)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | APC / PSD95 / AMPA受容体 / クラスタリング / 中枢神経系 / シナプス / PSD-95 / トランスポート / 中枢神経 |
研究概要 |
中枢神経系における神経回路網は、神経細胞どうしのネットワークによって形成されており、その接合部位はシナプスと呼ばれる。記憶や学習といった脳高次機能の発現のためには、シナプスにおける情報伝達が正しく行われることが重要である。本研究では、癌抑制遺伝子APC(adenomatous polyposis coli)が、シナプス形成因子PSD95との相互作用を介して、情報受容を担う因子であるNMDA型受容体のシナプスへの輸送(トランスポート)と集積(クラスタリング)を制御することを、分子生物学的及び免疫細胞化学的手法によって明らかにすることを目的とした。平成15年度までに、APCはPSD95のシナプスへの集積と、NMDA受容体でなく、AMPA型受容体のシナプスへの集積を制御することを明らかにした。平成16年度は、さらにAPCのシナプス構築への関与について、APCタンパク質の発現を抑制するRNA interference法を用いて調べた。その結果、APCタンパク質の発現を抑制した神経細胞では、PSD95及びAMPA型受容体のシナプスへの集積が抑制されていた。APCタンパク質の発現を抑制した神経細胞では、情報伝達物質AMPAに対する反応性が有意に抑制を受けた。以上の結果は、APCのAMPA受容シナプス構築への関与の証拠を強固にするものである。 以上の結果を生体レベルで反映できるかどうかを調べるために、APC遺伝子の一部を欠失したトランスジェニックマウス(Apc1638Tマウス)について、中枢神経系シナプスの構造を電子顕微鏡により調べた。Apc1638Tマウスの後シナプス肥厚部の厚さは、野生型のものと比較して、有意に薄くなっていた。 以上の結果は、中枢神経系での癌抑制遺伝子APCによるグルタミン酸受容システム構築への関与をin vitro及び生体レベルで、示唆するものである。
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