研究課題/領域番号 |
15700300
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
池田 和隆 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (60281656)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | ドーパミントランスポーター / ミューオピオイド受容体 / 報酬系 / 情動 / ノックアウトマウス / 固執 / 鎮痛 / ブプレノルフィン / 脳内自己刺激 / モルヒネ / 覚せい剤 |
研究概要 |
報酬系を担う2つの主要なシステムであるドーパミンシステムとオピオイドシステムについて、その類似性および相違点を明らかにすることを目指した。それぞれのシステムで中心的な役割を果たす、ドーパミントランスポーター(DAT)およびミューオピオイド受容体(MOR)に焦点を絞り、その遺伝子欠損マウスにおける報酬系の異常を行動解析により検討した。平成15年度は、脳内自己刺激(ICSS)試験を行い、DAT欠損マウスでは報酬への強い固執が認められ、このマウスが薬物依存のモデルになることを示した。一方、MOR欠損マウスでは、ドーパミン神経伝達の亢進を引き起こすICSSがより強まることが明らかになり、オピオイドシステムとドーパミンシステムによって生み出される快情動に質的な違いがあることが示唆された。これらの知見を元に、平成16年度は、DAT欠損マウスでは自然報酬への固執を検討し、MOR欠損マウスでは報酬効果と鎮痛効果のメカニズムの違いを検討し、以下の知見を得た。 1)DAT欠損マウスは、ノーズポークによる餌獲得オペラント行動のプログレッシブレイショー解析の結果、餌報酬に対しても強い固執を示すことが明らかになった。 2)MOR欠損マウスでは、オピオイド非選択的部分作動薬であるブプレノルフィンによる鎮痛効果は完全に消失しているが、報酬効果は残存しており、この報酬効果はオピオイド非選択的拮抗薬であるナロキソンによって消失することが明らかになった。オピオイドの鎮痛効果ではMORが中心的役割を果たすが、報酬効果ではデルタおよびカッパオピオイド受容体も関与していると考えられる。 以上より、ドーパミンシステムは報酬への強い固執と関係すること、オピオイドシステムはドーパミンシステムとは質的に異なる報酬を作り出すがその報酬効果は鎮痛効果のメカニズムとも違う分子メカニズムによって担われていることが、それぞれ示唆された。
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