研究概要 |
昨年度同様に、20個体のC57BL6系統雄個体にENU投与を行い、同系統との交配により得られたG1世代雄45個体と同C57BL6系統雌個体との交配によりG2世代雌個体を各G1雄当たり4個体を得た。さらにG1世代とG2世代のマウスを交配して各G1当たり平均55個体(♀27/♂28)のG3世代を生産した。 18から24日齢のG3世代雌,166個体について過排卵処理を施し、昨年度確立した方法により得られた卵子のゲノムインプリンティング遺伝子のメチル化レベルを各G3個体ごとに解析した。 上記スクリーニング個体のうち、H19遺伝子について60個体、Peg1遺伝子について92個体、peg3遺伝子について139個体についてメチル化レベルの異常が検出された。詳細な解析を行うため、これら異常サンプルについて、今年度新たに導入したパイロシークエンス法によりPCRテンプレート中に含まれる複数のCpGサイトでのメチル化レベルの測定を行った。 正常なC57BL6雌マウス95個体から採取した卵子のメチル化レベルを基準とし、上記異常G3サンプルのメチル化レベルを比較した結果、H19遺伝子について2サンプル、Peg1遺伝子について1サンプル、Peg3遺伝子について2サンプルが明らかに基準から外れる異常なメチル化レベルを示すことが判明した。各遺伝子についてのこれらの異常サンプルは2個体の卵子より由来していた。つまり1個体はH19,Peg1,Peg3全てについてそのメチル化レベルが異常であり、もう1個体はH19とPeg3についてそのメチル化レベルが異常であった。 現在までの所、上記G3個体と同リターのG3個体からはその他1個体も異常メチル化レベルを示す個体が検出されていないため、その遺伝性は不明である。
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