水中環境を利用したエクササイズは、近年、高齢者向けの骨格筋への負荷が軽度な運動の一つとして社会的認知を受けている。またその生体への作用を応用利用して、体脂肪燃焼エクササイズとしての期待が高まりつつある。しかし、実際の運動場面では、個体差が大きく基礎代謝、水温、水深などの影響で、その運動効果がどの程度なものなのか十分検討されていないのが現状である。弱重力場の水中環境において日常生活でほとんど使わない、骨格筋に負担をかけても、日常生活上の運動機能を改善しているとは言いがたいことが指摘されている。そこで、本研究では従来の水中運動に簡単な運動負荷装具を併用することで、体脂肪燃焼エクササイズ(代謝機能改善)として確立することを第一の目的とした。したがって、軍手や手中下駄を補助的に装着して、運動機能が衰えてきている高齢者にも基礎代謝を上げ、生体負担が少なくなる水中環境の利用方法の実証的検討を研究目的とした。さらに、運動動作を特殊環境で行うことによって、近年宇宙医学関係で注目されている、一過性の運動ニューロンの興奮を導き、高齢者の反射機能の維持・改善にかかわるプログラムを作成・評価する目的も併せ持っていた。高齢者のエクササイズは、個人差が大きい上に単純な繰り返しではプラス効果は見られなかった。ただし、運動動作を行った被験者の身体活動の喜びは大きい推察された。高齢者にとって、エクササイズに関する知識・学際的背景のデータは不十分な現状にある。特に、運動の負荷、環境とともに水分摂取などの体調管理も重要なテーマにたることがわかった。
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