日常生活関連動作(ADL)における動脈血酸素飽和度(SpO2)の変化を評価し、リハビリテーションにおける有効性を検討することを目的とした。在宅酸素療法を施行あるいは施行が予定されており、呼吸リハビリテーションを施行している入院中の患者6人に対して、SpO2モニターにより、ADL動作中のSpO2の変化を測定評価したADL動作は、歩行とセルフケア項目に大別した。歩行は10m、60m、160mの連続歩行を患者の動作能力に応じて実施し、セルフケア動作は、更衣、食事、整容、入浴、排泄の生活関連動作を対象として、SpO2を連続測定した。測定中には動作の観察を行い、経時的に記録した。動作終了後に自覚的な呼吸困難度をBorgのスケールを用いて評価した。その記録のために評価票を作成した。 対象者に対しての測定からは、自覚症状とSpO2の変化について、A:動作によりSpO2の低下があり自覚症状の悪化が生じるもの、:SpO2の低下はあるが自覚症状の悪化はみられないか動作後遷延して現れるもの、C:SpO2の低下は顕著ではないが自覚症状の悪化はみられるものとがあった。例数が少なくそれぞれの群の差を検討するには至っていない。評価結果の活用としては、SpO2が低下するA:及びB:群に対しては、歩行距離の設定を主治医と連携して行う、ADL動作をSpO2の低下がより少ない範囲で行える動作方法の検討指導を行うことなどが可能であり、A群では、自覚症状による動作程度の調節、B群では症状によらない動作パターンの設定などが考えられた。現状での主要な課題は、動作中の測定アーチファクト、評価検討に要する所要時間等のほか、この評価は薬物治療など内科的治療の指標として利用するための検討が不十分であること、C群に対しての適用についての問題などである。
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