研究課題
若手研究(B)
本研究では、健聴者と聴覚障害者の視覚刺激に対する反応の違いを生理的レベルで捕らえ、新たな視覚刺激チャネルの発見を含め、聴覚障害者を対象としたAR技術応用のための基礎データを提供することを目的している。前年度までの実験環境の基本的な整備終了を受け、限定条件下での聴覚障害者の視線の変化を捉える方法についての検討を行い、予備的な実験を行った。基本的には、前年度予算で購入した眼球運動計測装置により、ヘッドマウントディスプレイで提示した視覚刺激による注視点の移動を計測するものであるが、刺激提示ディスプレイと計測装置が物理的に干渉するため、視覚刺激は左眼に提示し、眼球運動計測装置は右眼を観測するという形を取った。前提となる作業環境としては、日常生活における単純作業を想定し、被験者正面に提示した一桁の数の足し算を連続して行うこととした。視野に刺激を提示する出力デバイスには、前年度に導入した、光学的に透過ではない単眼形ヘッドマウントディスプレイを用いた。実際に提示したものは、矢印やアルファベットなどの単純な文字から、ひらがな・カタカナ・漢字を含む2〜10文字程度の単語とした。刺激の提示に気づいた際に注視点を移動するように被験者に指示を行った後、5分間に7回の刺激提示を行い、刺激から反応までの所要時間を計測するものとした。また、計算機による障害者支援に関する国際会議ICCHP2004に参加し、昨年度までの研究成果を発表すると同時に、この分野の研究者と意見交換を行った。
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Proc.of 9th Int.Conf.Computers Helping People with Special Needs (ICCHP 2004), Lecture Notes in Computer Science 3118
ページ: 1167-1171