研究課題
若手研究(B)
1.得られた研究成果今年度はWeb上のコンテンツの中でも文書、資料等の配布手段として主流となっているPDFのアクセシビリティを向上させるための研究を行い、その成果の発表を行った。またWeb上で数式を表現する書式として標準となりつつあるMathMLへのアクセシビリティ対応の研究も行った。海外においては、イギリスで開かれた、世界の視覚障害者支援用機器を集めたQAC Sight Village 2005でのアクセシビリティ関連ソフトウェアのワークショップにおいて発表を行い、関連研究者・企業との情報交換、更には我々が開発したソフトウェアの販売等に関する協議などが行われた。また、昨年度に行った、視覚障害者におけるWebの活用状況等の聞き取り調査を行い、その調査結果を更に分析し、論文「重度障害者によるプレゼンテーションの方法とその教育に関する研究」の中に記している。PDFに関する研究としては、現状では、PDFの読み上げ順が正しくなかったり、数式部分の読見上げが出来ない状況を解決するために、PDFを再認識し、レイアウト解析、数式の認識結果の埋め込みを行う手法の提案を福祉情報工学研究会(WIT)にて「視覚障害者のためのPDF科学技術文書読み取りシステム」として行った。従来の認識システムがPDFを画像としてして認識いるのに対して、本手法は、PDFを画像として認識する一方で、PDFから文字情報を抽出し、画像認識から得た認識結果と抽出した文字情報をマッチングし、正しい結果を採用することで認識率を上げることに成功している。また、この際に数式の認識も行い、認識結果として読み上げて理解することが出来る文字情報を入れている。更にこのシステムを用いて、蔵書をPDFとして提供している電子図書館向けに、そのPDFを再認識することで、数式情報を埋め込み、更には数式によって引き起こされていた認識エラーを修正し、より精度の高い電子図書を生成するシステムも開発し、the 2nd International Workshoop on Document Image Analysis for Libraries (DIAL2006)において、論文「Refinement of digitized documents through recognition of mathematical formulae」として発表・掲載予定である。MathMLへのバリアフリー対応としては、日本大学の川根研究室との協力で、日本語読み上げが不可能であったMathMLの音声読み上げシステムの開発も行い、WITにおいて、「Web教材上の数式表示のバリアフリー化」として発表を行った。
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