研究概要 |
身体活動にとっての体脂肪は,エネルギー源としての役割の他には負荷でしかない.そこで,過剰な体脂肪の増加が,身体活動に具体的にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的に本研究を行った.本申請者は,体脂肪が身体活動におよぼす影響を解明するため「仮想体脂肪法」の考え方を考案し,負荷加重として体脂肪が増加した場合の影響を数量的に明らかにしてきた.しかし重量負荷をした際の生体の影響を具体的に分析が行われていない状態であった.そこで本研究では,負荷加重時の生体への影響,特に活動時の筋への影響について具体的に検討することとした. 体脂肪分布を明らかにするために,日頃から積極的に運動を行っている平均年齢17.25歳の男性40名の体脂肪分布を測定した.その結果は,体脂肪率16.78%,体幹部16.28%,脚部18.84%,腕部12.15%であった.この体脂肪分布に基づき,運動時のフォームや運動成績の変動が少ないと考えられる陸上競技選手を対象に,「仮想体脂肪」の負荷加重を行った.「仮想体脂肪」の負荷加重量は各被験者の体脂肪が25%,30%に増加した状態を想定した.対象種目としたのは,基本的動作である「走・眺・重心移動」を中心にした運動である,50m走,垂直とび,反復横とびを行なった.測定部位は,ハムストリングス,下腿三頭筋,直筋,前頸骨筋の表面電位を測定した.その結果,負荷がない状態に比べ過重負荷を増やした状態のほうが,特に直筋についての筋に対する影響が大きくなる結果が見られた.
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