研究課題
若手研究(B)
我々は、これまでに発芽玄米中のタンパク質含量および組成、特にアレルゲンタンパク質について解析し、精白米および玄米に比べて、発芽玄米中の可溶性画分に主要アレルゲンタンパク質がほとんど存在しないことを明らかにした。また、15年度には、発芽玄米の製造工程において、発芽および加熱工程がアレルゲンタンパク質の低減化に大きく関与していることを明らかにし、16年度には、アレルゲンタンパク質の減少には、発芽時に活性化されるプロテアーゼが関与し、そのプロテアーゼの至適温度は40℃付近であり、至適pHは5〜6付近であることが明らかとなった。そこで、17年度は、そのプロテアーゼを同定し、性質を明らかにすることを目的とした。玄米を発芽させた試料に、0.1%SDSを添加してインキュベートした結果、タンパク質の分解が促進され、14-16kDaのアレルゲンと26kDaのアレルゲンは、それぞれもとの玄米中に含まれる量と比較して45%および30%に減少しており、26kDaアレルゲンのほうが14-16kDaアレルゲンよりも減少が顕著であった。そこで、各種プロテアーゼインヒビターを用いて、この低減化に関与するプロテーゼの同定を試みたところ、NEM(システインプロテアーゼインヒビター)により、26kDaアレルゲンの低減化が阻害され、26kDaアレルゲンの低減化にはシステインプロテアーゼが関与していることが明らかとなった。玄米の発芽時において、活性化されるシステインプロテアーゼはすでに同定されており、発芽後18日目に活性化され、米の主要貯蔵タンパク質であるグルテリンを分解することが知られている。このプロテアーゼは乾燥種子中にも存在しており、このシステインプロテアーゼもしくはこれ以外のシステインプロテアーゼが、26kDaアレルゲンを含む可溶性タンパク質の分解に関与していることが示唆された。
すべて 2005
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 69・10
ページ: 1877-1883