研究概要 |
本研究では,視点移動能力の育成を支援するストリーミング学習コンテンツの設計および開発を行った.まず,松森(1983)の試作した視点移動の類型化のうち,具体的視点移動から心的視点移動への転換について,動画像やコンピュータグラフィックスを用いることでより効果的に支援できると考え,仮想的視点移動を新たに提案した.次に,コース設計を行い,コンテンツ開発を行った.課題を与えその課題を遂行する際に視点移動を行うよう配慮した.仮想的かつ能動的視点移動を行う画面では,地球は自転し,月は自転しながら地球の周りを公転している仮想空間をインタラクティブに操作できるShockWave3Dの技術を用いた.そして,インターネットを経由してこのコンテンツにアクセスできるよう,Webサーバを設置し,公開した。そして,開発したコンテンツについて主観評価を行った。評価項目は、インターフェイスに関する項目(操作性、見やすさ)とコンテンツの有用性とした。「教育に利用できるか」という質問に対して、大学生13名中、10名が中学校の教材として「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答し、残り3名は「あまりそう思わない」という評価をした。ここで,コンピュータグラフィックによる提示だけでは学校教育における学習は不十分であると考え,天体模型を作成し,そこに小型カメラを設置して視点を移動できるよう工夫した教材を開発した.この教材は持ち運びができるため,教室に持ち込んで提示することが可能である.以上,対面授業で使用できる実物教材と,その教材によって学習したことをweb上で学習するためのweb3Dコンテンツを開発し評価を行った.今後の課題は,教育現場における実践利用と更なる改良を行うことである.
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