研究概要 |
本研究は,理工学分野における「ものづくり」教育として重要である電子回路の作製・実験の指導を,高能率かつ安全に行うための教育支援システムを研究・開発することを目的とする。 本システムの基本となる技術は,学生がブレッドボードに作製した実験回路に対して,回路画像をコンピュータに取り込み,LAN接続された指導者側コンピュータが,回路画像から回路素子や配線を自動認識することである。 そして,回路認識の結果を回路記述言語(SPICE)に翻訳できれば,コンピュータによる回路シミュレーションが可能となり,作製回路の動作をコンピュータ上に表示できるため,作製回路の誤りを直ちに発見でき,さらに誤った回路による事故を防ぐことができる。 平成16年度は,前年度に続き,以下の1〜3に示す研究を行った。 1.回路認識の高精度化 平成15年度の研究では,回路素子の識別は高い精度が得られたが,実験回路の配線位置に対する自動検出の精度は不十分であった。平成16年度は,回路認識法にモルフォロジー演算を組み合わせるなどの改良を施し,検出精度の大幅な向上を実現した。 2.回路翻訳 回路翻訳は,回路素子や配線などを自動認識した情報に基づいて,回路記述言語を自動的に生成するという新しい試みである。回路記述言語は,国内外で標準的に用いられている「SPICE」を採用した。現在の回路認識法では,回路の素子値を自動判別することが出来ないため,素子値を手入力することにより,回路翻訳を可能にするアルゴリズムを考案した。 3.実験環境への適用 測定機器(オシロスコープ,発信機,電源装置など)を設置した実験教育環境での応用に関する研究を行った。 その結果より,本システムを改良し,下記(1)〜(3)を実現できれば実用化が可能になると考える。 (1)卓上装置の小型化,(2)回路認識の高速化,(3)素子値の自動判別
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