研究概要 |
本研究の最終年にあたる平成17年度は,3年間の研究期間で収集した衛星データと現地調査データをまとめ,汎用性の高い基盤地図データをデジタルベースで完成させた。研究開始当初には未整備であった新しいデジタル地形データ(米国NASAがスペースシャトルを利用して整備した地球規模の地形データ)も本研究の地形データに統合した。地理情報システム(GIS)を利用した研究成果の応用例として,遊牧民の現地部族語地名を位置情報を持つ属性として統合し,地図上で空間参照が行えるようにした。またアフリカにおける広域植生変動データも基盤地図に随時取り入れることができる仕組みを整備した。 [衛星データの補完] 前年度に引き続いて,地球観測衛星Terraに搭載のASTERセンサが北ケニア半砂漠地帯を撮影した衛星データの収集を行い,情報欠損域の補完を行った。 [整備データ応用例の成果報告] 基盤地図データの整備が完了したので,現地測量調査を行った際に収集した遊牧民の部族語地名を地図座標にリンクさせて,成果地図に統合した。これにより従来は困難だった現地での地図を用いた情報交換が容易に行えるようになった。平成17年5月に行われた日本アフリカ学会では,この成果が行政などの意思決定支援に適用できる可能性を紹介した報告を行い,良好な評価を得た。 [アフリカ大陸の広域植生変動データの統合] 完成した詳細地形データをベースマップとして,衛星から得られる準リアルタイムの広域植生変動データを取り入れる仕組みを作った。これにより対象地域における干ばつや洪水など自然災害の時空間把握が容易になり,対応策を講じる際の意思決定支援にも役立つ。このデータは随時更新することができるので,将来的にも高い汎用性が期待できる。
|