研究概要 |
本年度は昨年度行った,衛星画像上での雪氷藻類の分析方法を改良し,衛星画像からの藻類バイオマスの定量をおこなった.解析にあたっては,昨年度購入した画像解析アプリケーションおよび今年度購入したパソコンを用いて行った.昨年度は,SPOTのマルチスペクトル画像のBand1(545nm)とBand2(645nm)の反射率の比を使って赤雪の検出を行ったが,実際の現地氷河のサンプルの藻類バイオマスの測定を顕微鏡をもちいて行い,同時に計測した雪面の反射スペクトルを用いて,545nmと645nmの反射率比と藻類バイオマスの関係をもとめた.その結果,両者の間に統計的に有意な相関があることがわかった.その関係からもとめた,反射率比と藻類バイオマスの回帰式をもちいて,アラスカハーディング氷原の衛星画像から,藻類バイオマスを求めた.その結果は氷原面積1150km2中の平均藻類バイオマスは炭素換算で1.2kgC/km2,氷原上の総バイオマスは1,379kgCとなった.この方法をもちいて,赤雪が顕著なロシア,アルタイの氷河のサンプルの藻類分析および,衛星画像の分析を行った(下記,論文にて発表).しかし,衛星画像は,氷河表面でDN値が上限を超えており,分析ができないことわかった.その他本研究で購入した中国,グリーンランド等の衛星画像を分析したが,残念ながら現在撮影済みの画像ではほとんどの画像では氷河表面でDN値が上限を超えており,分析ができない結果となった.以上,撮影済みの画像への応用には限りがあることはわかったが,本研究ではたしかに衛星画像が藻類の定量に利用できることをしめすことができた.今後ひきつづき,分析可能な衛星画像を探すとともに,ゲイン値を指定し撮影をリクエストする方法などを試みてみたい。
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