研究課題/領域番号 |
15710025
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価・環境政策
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
加藤 尊秋 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (20293079)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 原子力発電 / シビアアクシデント / 情報提供 / 辞書的選好 / パネル調査 / CVM / 経済評価 / 時系列安定性 |
研究概要 |
本研究では、環境問題など複雑な現象に対する人々の判断結果が時系列上で変動する理由の1つとして、相反する学説が適切に伝えられていないことに注目した。このため、原子力発電所のシビアアクシデントを例に、知識の伝え方と被験者の回答の関係を調べた。実験は、埼玉大学および芝浦工業大学の学生121名を対象に行われ、半数の被験者には、シビアアクシデントの被害試算例2種を提示した。残りの被験者には、試算例に加え、その違いを理解するための体系的な知識を簡潔に記したプリントを配布した。なお、試算例には、関田、八田、松本(2004)および朴(2003)のうち、人的な被害の部分を利用した。いずれも関西電力大飯原子力発電所立地点における原子炉格納容器の破断事故を想定しているが、後者の方が格段に大きな被害を予測している。実験はパネル形式であり、上記の情報を提示する直前と直後、また一ヶ月後に、原子力の受け入れと経済的見返りについての質問、また、原子力防災関連行動についての質問を行った。この結果、以下が明らかとなった。 (1)体系的な知識を与えた方がシビアアクシデント情報の提示直後に経済的見返りの拒否度合いが増した者が少なかった。また、あらたに原子力防災行動を取るとした者も少なかった。 (2)体系的な知識を与えた方が、(1)で原子力に否定的な態度が強まった者のうち一ヶ月後も否定的な態度を保持している者の割合が大きかった。 (3)両群とも、提示直前と一ヶ月後で原子力に関する情報収集をしている者の割合は変わらなかった。ただし、体系的な知識を与えない方が、提示直後になされた質問の数は、多かった。 したがって、本研究の第一の仮説と関連し、複数の試算例を提示し、さらに、その違いを理解するための情報を与えることが、被験者の回答の時系列的安定性を高めることがわかった。一方、第二の仮説であった、複数の試算例の提示による自発的な学習の促進は見られなかった。
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