研究課題/領域番号 |
15710042
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
廣澤 成美 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40327060)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | endocrine disrupter / phthalate esters / proteome analysis / valosin containing peptide / UMP-CMP kinase / ptoteome analysis |
研究概要 |
本研究では、塩化ビニル類の可塑剤であるフタル酸エステルDEHP[di-(2-ethylhexyl) phtalateをラットに長期投与(7ヶ月間)を行い投与期間中の性周期への影響を観察した。その結果、コントロール群と比較し、1.性周期における発情間期の判定の増加(p<0.01) 2.血中エストロゲン濃度の減少(p<0.01) 3.卵巣重量の減少(p<0.05) 4.血清、下垂体中のFSH濃度の低下(p<0.01)が認められた。これらの結果から、内分泌系の頂点である脳下垂体に関して可溶性蛋白のディファレンシャル解析を遂行し、発現量の変動する蛋白を含む種々のスポットのPeptide MS Finger print (PMF)解析ならびにPost Source Decay (PSD)解析を行った。その結果、蛋白量が顕著に減少したスポットの1つからTransitional endoplasmic reticulum ATPase (VCP/p97)が同定された。VCP/p97はDEHP投与群において発現量が顕著に減少していることからホルモン分泌における小胞体輸送経路で小胞体、ゴルジ体の膜融合が不完全となりゴナドトロフィン分泌低下に繋がると思われる。結果的に卵巣の未成熟が引き金となって性周期が不安定なると推測される。性周期観察における発情間期の増加ならびに血中エストロゲン濃度低下は前述の可能性をよく反映している。また継続的プロテオーム解析により、UMP-CMP kinaseの顕著な減少が示され、UMP、CMPの合成能低下に伴うmRNA合成量の減少もまた間接的にFSH分泌量の減衰を来すと推測される。これらの蛋白以外にも5種類の蛋白、calcium-binding protein (p54/NEFA)、protein disulfide-isomerase (PDI)、78-kDa glucose regulated protein (GRP78)、acidic ribosomal protein P0、β-actinもまた有意な減少を示し、分泌蛋白の細胞内輸送経路が抑制的な影響を受けると予測された。また、前述の蛋白以外に約300スポットを分析し、下垂体蛋白約100種を同定した。これらの結果は現在、欧文学術雑誌「PROTEOMICS」に校正投稿中である。
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