研究概要 |
リサイクルの観点からドライ切削加工して得たAZ31マグネシウム切削チップの圧粉体を回転角R=90°ずつ同じ方向に回転させながら繰返しECAP温度573Kで固化成形し,微細結晶粒組織を有する均質固化材作製の可能性を調査した。その結果,無潤滑のECAP固化は,各ECAP温度において強度のせん断ひずみを受けた表皮層が形成され,表面に割れのない固化材を得ることが可能である。しかし,無潤滑では潤滑した場合に比べECAP圧力が著しく高く,また室温機械的性質も固化材のECAP方向に直角断面でのばらつきが大きい。一方,潤滑材を用いた場合,ECAP圧力は低下するが固化材に表面割れを発生した。しかし,FEM解析の結果によれば,潤滑材を用いることによってECAPにおけるひずみ分布が著しく均一であることが予測された。N=1では無潤滑,またN=2,3,4ではMoS_2系潤滑材塗布,すなわち無潤滑+潤滑を組合せたECAP固化を施すことにより,表面割れのない,均質な機械的性質の固化材を得ることができた。またその固化材の結晶粒微細化に対しても効果のあることがわかった。 よって,AZ31マグネシウム合金の切削チップをECAP固化成形することによりリサイクル押出用ビレットの使用用途が広がった。 次に市販のAZ31B,AM50AおよびAM100Aマグネシウム合金を原料とし,真空蒸留精製後,得られた凝縮物を溶解鋳造し,押出加工した純マグネシウムの耐食性および機械的特性について調査した。その結果,4N(純度99.99%)の試料は全て腐食速度が1mm/年以下の良好な値を示すことを明らかとした。 以上の結果を基に,高純度マグネシウムを既存のマグネシウムに表層化した複合押出しするためのビレットおよび加工条件の確立が図られ,循環再生加工が可能となることを明らかとした。
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