研究概要 |
本研究の目的は,従来の活性汚泥を用いた生物処理方法処理では除去が困難であった溶液中のダイオキシンやPCB,フェノール,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレンなどの有害な微量有機物を,高圧プラズマ励起法によって,反応性が極めて高いOHラジカルを生成し,有機物中のC=CやC-H,C-Clボンドを切断・分解させる低コストかつ高効率に除去が可能な技術を確立することにある.本研究では,まず,IGBTパルス高電圧電源を用いて気液表面でプラズマを発生させたときの微量有機物の分解効率を実験的に評価した.放電電極には円盤状のものと円環状の2種類を用い,誘電体バリアの有無によるフェノール分解反応への影響を調べた.さらに酸化分解を促進させると考えられる過酸化水素(H_2O_2)を励起添加剤として用いることによって分解効率の改善を試みた.また,気液表面でプラズマを発生させた場合,分解反応が気液表面付近でのみ行われる可能性があることから,バブリング法を併用することによって難分解性微量有機物を気液表面に浮上・気化させ,分解効率の向上を試みた.その結果,放電開始から12分後の時点で,バブリング法を用いた場合のほうが,用いない場合に比べ分解効率が約1.5倍に向上した.また,空気,空気とアルゴンの混合ガス,H_2O_2を含んだ空気の3種類のガスを処理溶液にバブリングさせながら気液表面で放電を行わせたところH_2O_2を含んだ空気を用いた場合が最も分解速度が速いことがわかった.
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