研究概要 |
本研究の目的は,無線データ転送により流入および流出のデータをリアルタイムで入手し,そのデータをもとに流動数曲線の解析と最適化アルゴリズムをもとに作業指示に対する意思決定を行い,ネットワークを通じて作業者に作業指示を行うという一連の作業を高速かつ正確に行うシステムを構築することである.そのためには,無線データ転送装置(以下RF-ID : Radio Frequency Identification)からデータ受信する(1)入力部,データを解析する(2)解析部,作業指示をする(3)出力部,入力部,解析部,出力部をむすぶ(4)ネットワーク部,の4点が研究の主要な部分となる. 本年度は(4)のネットワーク部が主たる目的であるが,咋年度までの進行状況と,現場サイドにおける実行可能性の問題から,(4)を行うと同時に,(2)と(3)のさらなる研究にも重きをおいた.(2)の解析部,作業指示においては,オーダー伝票を元にグループテクノロジー技術を用いたコンテナの一時保管場所を最適化するアルゴリズムを提案し,エイ・アイ・サービス社の物流シミュレーションツールであるLaRC-Brainによって解析と評価を行った.その結果,グループテクノロジーによる最適化を行った場合と行わない場合では,搬出時の総作業時間に有意な差が認められた.また,これらの配置状況や作業指示は全てデータベース化し,(4)のネットワーク部を構築した. 平成15年度から本年度までの総合的な実績として,(A)RF-IDを用いたトレーサビリティ管理,(B)RF-IDへの効果的な保存形態の提案,(C)小型携帯端末による作業指示への連携,(D)グループテクノロジーを用いた最適保管,などがあげられる.これらの研究成果は港湾業務におけるコンテナ管理以外においても効果があることが予想され,配送センターの保管場所管理やオーダーピッキング作業管理への応用が期待される.なお,本研究成果は,2005年7月に開催された国際学会18th International Conference on Production Researchにおいて,"Development of Traceability System Using RF-ID and Spline Interpolation"と題し,発表を行った.
|