研究概要 |
核コードの葉緑体タンパク質の内、葉緑体形成に必須なものを網羅的に調べるために、作製した9425タグラインよりアルビノ変異体87ラインを単離した。その内、トランスポゾンの挿入が原因でアルビノの表現型を示したラインは38ラインであった。これらの変異体をalbino or pale green (apg) mutantと名付け、解析を行った(Motohashi et al.,2001,2003)。さらに、アルビノ変異体の発現解析のために葉緑体遺伝子のマイクロアレーを作成した(Nagashima et al.,2004)。apg mutantsの内、apg3、apg4、apg5、apg9ラインについて、葉緑体遺伝子のマイクロアレーなどを用いて、詳細な解析を行った結果、葉緑体ゲノム遺伝子の翻訳や転写調節に関わる葉緑体の形態形成に必須遺伝子の機能解析を行うことができた(論文投稿中)。 アルビノ変異体の中にはいくつかのミトコンドリアタンパク質遺伝子の変異体も含まれていた。そこで、核コードの葉緑体タンパク質の機能を効率よく解析するために、4つのタンパク質局在予測プログラム(iPSORT : Banni et al.2002,PCLR : Schein et al.2001,Predotar : Emanuelsson and von Heijne 2001,TargetP : Emanuelsson et al.2001)を用い、少なくとも3つのプログラムによって葉緑体に局在が予測された2090の葉緑体タンパク質遺伝子の破壊株を集め、ホモラインの作成を行っている。 野生型と変わらない表現型を示すが微妙に光合成系に異常が見られる変異体のスクリーニングを行い、その原因遺伝子の同定を行った。クロロフィル蛍光2次元画像解析システムを用いて、葉緑体タンパク質の遺伝子破壊株(約100ライン)をスクリーニングし、クロロフィル蛍光の時間変化が野生型と異なる変異体を得、その原因遺伝子がLycopene epsilon cyclaseであることを明らかにした。
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