研究課題/領域番号 |
15720007
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
村上 靖彦 日本大学, 国際関係学部, 助教授 (30328679)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 自閉症 / 現象学 / 視線 / 身体 / 言語発達 / 発達障害 / 心的外傷 / レヴィナス / フッサール / 精神病理学 / 心的外傷(トラウマ) / アスペルガー症候群 |
研究概要 |
本研究は、自閉症における言語獲得、および対人関係の発達の研究を軸にして進められた。国立成育医療センター発達心理科医長宮尾益知先生のご指導・ご協力の下フィールドワークを行い、それに基づき成育医療センターの先生方とともに研究を進め、すでに何本かの学会発表を行い、またこれから学会誌で成果を出版することになっている。さらに、成果の一部はヨーロッパの雑誌においてフランス語で発表している。 内容については、自閉症児が視線・対人関係において抱える問題には二段階の発達過程が関わっていることを明らかにした。第一段階については「対人触発」、第二段階については「図式化・組織化」という概念を導入してその質的な違いを考察した。対人触発は、向かってくるベクトルの経験であり、図式化は感情や運動の読みとり、模倣の形成に関わる。さらにこの現象学的な考察が、最新の神経学的な知見と整合性を持つことを国立成育医療センター木村育美先生の研究をもとに示すことができた。 この知見をもとに、重度の自閉症児から、軽度発達障害に到るまでの対人関係における様々な具体的な困難に対して、一貫した理論的説明を与えることに成功している。さらにパニックや常同行動といった自閉症児に特徴的な行動について、整合的な説明を与えることができた。 言語機能については、健常児の言語発達が、文法機能の発達以前に対人触発、および情動性の組織化の発達を基盤としていることを明らかにするとともに、自閉症児の場合には、これらの基盤を持つことなく、文法機能の獲得と、知覚機能の発達が直接接続していることを明らかにした。 また現在は自閉症児の遊びの発達についての質問紙の製作を準備し始めているところである。
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