研究課題/領域番号 |
15720008
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
江口 聡 京都女子大学, 現代社会学部, 助教授 (30329932)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 情報倫理学 / 集団責任 / 情報倫理 / ネットワーク / フリーソフトウェア / ファイル共有 |
研究概要 |
本年度はコンピュータの集団的な利用による「責任の曖昧化」の問題を検討した。Therac-25に代表される高度な技術や、コンピュータ・ウィルス、ネットワークによる投票、P2Pファイル交換ソフトウェア等はどれも誰がどのような行為を行なったのかという点を不明確にし、それゆえ責任の所在がわかりにくくなる原因となる。このような問題を扱うには「責任」の本来的な意味が「賠償責任」であるのか、最近一部の論者によって提出されている「応答責任」なのかを明確にする必要がある。 報告者の分析によれば、通常提出されている「応答責任論」は「責任を問う」ことと「責任がある」ことの違いを見失っている可能性がある。この点は上で述べたような集団責任の問題をとりあげれば明白になる。 集団的な責任においては、(1)責任を問うべき個人が誰であるか明らかでなく、(2)個人を見た場合その落ち度はささいな場合が多く、(3)他人の行為について応答するということの意味が不明確である。 報告者の主張では、われわれは責任の問題をあつかうにあたって、伝統的な目的論的な解釈をおこなうべきである。「責任」という概念の中心にあるのは「非難」であり、社会的に望ましくない結果を抑止あるいは予防し、加害者の教育や被害者の救済その他の目的のための手段としてプラグマチックに解釈するべきである。つまり責任という制度は、そのような制度を採用することの帰結によって正当化されるような擬制にすぎない。 より詳細な研究成果は、平成18年度に各種学会および刊行物で公開する予定である。
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