研究課題/領域番号 |
15720021
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学・美術史
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
三木 順子 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00283705)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | イメージ / 形象 / モダン・アート / 現代アート / 歴史 / 記憶 / 場所 / 文化 / 否定弁証法 / 絵画 / インスタレーション / メディア・アート / 解釈学 / 不在 |
研究概要 |
本年度は、2つの方向から研究を進めるとともに、3年間の研究を総括し、以下に記す成果を得るに至った。 (1)モダン・アートの展開のなかで、形象は、自己自身以外のものを参照することを激しく拒む。それだけでなく、形象は、自己自身として「在る」ことさえをも強く否定し、「不在」として逆説的に、しかも矛盾を孕んだ仕方で自己をあらわしだす。この特異な自己表現の否定弁証法的な論理を、「<不在>としての形象一そのメタファー機能をめぐる一考察」と題する論文にまとめた。 (2)建築や都市空間と一体化したインスタレーションでは、形象を、たんに色と形からなる媒体とみなするのではなく、場所・歴史・記憶と深くかかわる媒体として再解釈することが重要となる。こうした新たな形象理解に取り組む論考を、「TOPOS of Memory-Crossing between Place and Time」というタイトルのもとに、6月にフィンランドのヘルシンキで開催された第29回哲学と文学国際会議で口頭発表し、哲学の分野に携わる内外の研究者と意見交換した。なお、この論考は、国際会議の雑誌の分冊The Year Book of Aestheticsの2007年号に掲載されることが決まっている。 (3)3年にわたる当該研究をとおして、形象による表象の可能性というよりは、むしろ、表象の不可能性を、形象は「不在」をとおしてどのように表現しているのかが明らかになった。こうした研究は、有形文化の保存や修復の必要性が云々される今日において、有形のものが「廃れる」ことの積極的意義を改めて検証し、保存・修復と「廃れ」の両面から総合的に文化の歴史性を省みるための、基礎的な視座を築くものとなったといえる。
|