研究課題/領域番号 |
15720060
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ヨーロッパ語系文学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 正則 九州大学, 大学院言語文化研究院, 助教授 (10346843)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | ロシア / 世紀転換期 / 思想史 / 哲学 / 近代の超克 / マルクス主義 / 象徴主義 / 20世紀 |
研究概要 |
今年度は、3年間の本研究の最終年度にあたる。本年度の研究計画は、1年目および2年目の研究成果を踏まえ、それによって得られた新たな知見と視座に基づいて、20世紀初頭ロシア文化・思想史の新たな枠組を構築・提示することにあった。その際、以下の3点に特に留意した。 1.知識人たちに共有された問題意識、精神基盤、思考様式を包括的に俯瞰して記述する。 2.「近代の超克」の手段と方向、新しい世界観の立脚点をめぐる論争史として記述する。 3.従来のカテゴリーや分類図式によるのではなく、新しい世界観のあり方と方向性をめぐる姿勢や考え方の相違によって整理する。 成果として、以下の点が挙げられる。 1.「近代の超克」、「新しい世界観」という本研究の視角の有効性が、かなりの程度立証された。知識人たちが活動領域や思想的立場の相違を越えて共有する近代批判の視角の全体像がほぼ明らかになり、その結果、20世紀初頭ロシア思想史上の諸潮流(従来は別個の、互いに異質の潮流とみなされてきた)を、共通の問題意識に立脚した新しい世界観の模索の多様な形態ととらえ、互いに連関させて描くことが可能となった。 2.従来の分類図式を越えた論争の代表的事例(認識理論、芸術とりわけ演劇)について、表層の背後に隠された論点(「新たな世界観」の模索)と論争の構図を明らかにすることができ、その結果、それらを新しい世界観の有効性をめぐる論争として再解釈して描くことが可能となった。 3.上記1.2.の成果はいずれも、従来の静態的分類カテゴリーに依拠した思想史記述の枠組に修正を迫るものである。その結果、「近代の超克」、「新しい世界観」という新たな視座に立脚した20世紀初頭ロシア文化・思想史の新しい枠組の基本的な部分の大枠を形づくることができた。 こうした今年度の成果については、現在、複数の論考を準備している。
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